「モテないくせに理想は高いよね」
飲み会の帰り道、半分ふざけたトーンでそう言われた。
街灯の下、返す言葉がすぐに出てこなくて、かばんの持ち手をぎゅっと握ったまま、へらっと笑ってやり過ごした。
いま、わたし、下に見られた?
そもそも「モテないのに理想が高い」って、誰目線の言葉?
この言葉、たいてい他人が勝手に貼ってくる
考えてみてほしい。
理想が高いと自分から胸を張って名乗る女の子って、あんまりいない。
この言葉はだいたい、外から飛んでくる。しかもセットで“くせに”とか“のに”がくっついてる。
つまり最初から、あなたを一段下に置いたうえで評価してくる構文なわけ。
恋愛がうまくいってないという弱みに、条件にうるさいというラベルを重ねて、二重で刺してくる。地味にえぐい(笑)。
だから、あの一言を真に受けて落ち込む必要、そもそもなかったりする。
それ、理想が高いんじゃなくて、譲れない線があるだけ
私がずっと勘違いしてたのはここ。
自分は要求が多い面倒な女なんだと思い込んでた。
でも棚卸ししてみたら、譲れない項目って実はそんなに多くなかった。嘘をつかない人がいい。見下してこない人がいい。それくらい。
数は少ないのに、そこだけは絶対に折れたくない。
これって高望みって言うより、境界線を持ってるってことでしょ。
線がある人は、合わない相手と一緒にいる時間が短くて済む。むしろ得してる側だったんだよね。
たぶん問題は理想の「高さ」じゃなくて「ピント」
私がずっと握りしめてた条件、ぜんぶ飾りだった
二十代の頃の私のチェックリスト、今見たら赤面もの。身長は高めで、年収はこれくらいで、休日はおしゃれなカフェに連れてってくれて、車はこの系統で…みたいな。
で、その条件をわりと満たす人と付き合えた時期があった。友達に写真を見せて、ちょっと鼻が高くなったのを覚えてる(笑)。
なのに、二人でいる時間がなぜか息苦しかった。
向こうの機嫌をうかがって、言いたいことを飲み込んで、帰り道にひとりで肩で息をしてた。
条件は満点。なのに心はずっと空腹。あの感覚、今でもぞっとする。
スペックの高さは、幸せの予報には使えない
学歴も年収も身長も、数字にできるものは分かりやすい。分かりやすいから、つい物差しにしたくなる。
でもそのどれも、毎日のごきげんを予報してくれない。
効いてくるのはもっと地味なところ。
疲れて帰ってきた日に八つ当たりしないか。自分が悪いときにちゃんと謝れるか。一緒にいて呼吸が浅くならないか。
数字に出ない、この辺の項目こそが、三年後五年後のあなたの表情を決める。
理想が高すぎて売れ残ってるんじゃない。高さを測る場所を、間違えてただけ。
「妥協しときなよ」に従った友達の、その後
条件を下げて結婚した子が、三年後にこぼした一言
仲のいい子で、まわりから急かされて、そこそこ条件のいい人と結婚した子がいる。
式の写真はキラキラで、みんなおめでとうって泣いてた。
それから三年。ひさしぶりに会ってお茶したとき、その子がぽつりと言った。
「この人といて、さみしくないって思ったこと、まだ一回もないんだよね」
カップを持つ指先が白くなってたのを、私はうまく見ないふりした。
妥協って、その場は丸くおさまる。でも消えたわけじゃなくて、静かに積もっていくんだよなぁ。
逆に、わがままを通した子がいちばん穏やかな理由
別の友達は真逆だった。
条件にうるさいだの、選びすぎだの、さんざん言われてた。三十を過ぎても妥協しなかった。
陰で理想高すぎと笑われてたのも、たぶん本人は気づいてたと思う。
それでも折れずに、ある人とすっと一緒になった。
スペックは正直ふつう。でも二人でいるときのその子、表情がやわらかいの。声のトーンまで違う。
待てたのは、譲れない線をブレさせなかったから。結局そこが全部だった。
理想は下げない。上げるのは「解像度」のほう
チェックリストを名詞から動詞に書き換える
ここからが実践。
理想を捨てる必要はまるでない。書き方を変えるだけでいい。
名詞で並べてた条件を、動詞に翻訳してみて。
年収が高い、じゃなくて、お金の話をごまかさずにできる人。
優しい、じゃなくて、私がしんどそうなときに先に気づいて動いてくれる人。
イケメン、じゃなくて、隣を歩いてて背筋がのびる人。
名詞は他人に自慢する用。動詞は自分が生きやすくなる用。翻訳した瞬間、探す相手ががらっと変わる。
一回だけ、自分に意地悪な質問をしてみる
リストを書き換えたら、最後にひとつ、自分に嫌な質問を投げる。
この条件、本当にわたしが欲しいもの?
それとも、誰かに見せて勝った気になりたいだけ?
親を安心させたいだけ? 昔バカにしてきたやつを見返したいだけ?
うっ、痛いところ突かれた…ってなったら、そこが飾り。
自分の幸せと関係ない見栄が、こっそり紛れ込んでるだけ。
理想を下げるんじゃなくて、他人のための項目をそっと外す。すると残るのは、純度の高い、あなただけの理想。
そもそも「モテ」を目指す必要、あった?
モテるのと、ちゃんと好かれるのは、まるで別もの
ここ、勘違いしてる人が多い。
モテるって、たくさんの人からそこそこ好かれること。
広く薄く、誰にでも好かれる自分を作るのは、正直しんどいし、消耗する。
しかも全員に合わせにいった結果、あなたの譲れない線はどんどん削れていく。
必要なのはモテじゃない。たった一人に、深く、ちゃんと好かれること。
その一人に届けばいいなら、大勢に選ばれなくても、なんの問題もないでしょ。
