その一言から、六日が経った
金曜の夜に送った。
「来週末、時間あったらご飯行きたいな」
返ってきたのは、二時間後。
「いいね、予定確認するね」
やった、と思った。
いいねって言ってくれた。前向きじゃん。
土曜。連絡なし。
日曜。なし。
月曜、火曜、水曜。
六日目の夜、トーク画面を開いて閉じた。
(確認って、何日かかるんだろう)
スマホを裏返して枕元に置いて、天井のシーリングライトの縁を意味もなく見つめてた。
催促していいのか、待つべきなのか。
そこで固まって、また一日が過ぎるの。
断られてないのに、進んでもいない
予定確認するね、と言われ困ってるのは、はっきり断られたら、諦められる。
承諾されたら、喜べる。
確認するね、は、そのどちらでもない。
保留のまま置かれた状態。
そして、保留は放置されると自然に消える。
予定確認するね、の中身
本当にスケジュールが不明
まず、額面通りの場合。
シフト制の仕事、繁忙期、家族の予定。
自分の空きが把握できてない人は、実際にいる。
このパターンなら、二日か三日で返事が来る。
そして、返事には具体的な日付が入ってる。
確認が必要な人ほど、確認したら報告してくるの。
行きたいけれど、乗り気ではない
断るほどじゃない。でも積極的でもない。
そういう中間の温度を、確認するね、が引き受けてる。
断ると角が立つから、保留にしておく。
そのうち相手が忘れてくれれば、断らずに済む。
これが一番多いと思ってる。
悪気があるわけじゃないの。ただ、優先順位が低い。
他の予定と、天秤にかけている
その週末に、別の誘いが来る可能性を残してる場合。
先に確定させると、後から来る誘いを断ることになる。
だから、保留にして待つ。
どっちが来るか見てから決めるの。
このパターンは、直前に連絡が来る。
金曜の夜に、明日どう、みたいな形で。
それに乗るかどうかは、こっちが決めていい。
忘れている、という単純な理由
がっかりするけど、これも実在する。
確認するね、と打った時点で、その会話は彼の中で完結してる。
返事をしたつもりになってるの。
そして、日常に埋もれて消える。
悪意はゼロ。ただ、あなたとの約束の優先度がそこまで高くない。
断る言葉を、探している
少数だけど、ある。
その場で断ると気まずいから、時間を置いてから理由を作る。
この場合、返事が来ても曖昧なまま。
最近ちょっとバタバタしてて、みたいな形で、日程には触れない。
六日待って、催促できなかった話
催促したら重いと思って、黙っていた
あの六日間、わたしは何度も文面を書いた。
予定どうなった?
先週の話だけど、大丈夫そう?
全部消した。
急かしてる感じになるのが嫌だった。
待てる女でいたかった。
今思うと、待てる女ってなんだよ、って感じなんだけどね。
十日目に来たのは、別の話題だった
十日目、彼から連絡が来た。
心臓が跳ねて、急いで開いた。
内容は、テレビで見た店の話。
食事の件には、一言も触れてない。
(え、そっち?)
画面を見ながら、口が半開きになった。
その話題に普通に返信しながら、頭の中では別のことを考えてた。
彼の中で、あの誘いは終わってる。
終わったことにされてる。
三週間後に聞いたら、忘れられていた
結局、三週間後に聞いた。
前に話してたご飯、どうする?
返ってきたのは、
「あ、そうだった。ごめん、忙しくて忘れてた」
忘れてた。
その三文字を見て、力が抜けた。
わたしが三週間、毎日考えてたことを、彼は一度も思い出してなかった。
悔しいとかじゃなくて、なんか、笑えた。
待つ期間の目安と、判定基準
三日、それが限界
はっきり言うね。
本当に行きたい相手なら、三日以内に返事が来る。
スケジュール確認に三日以上かかる人は、確認する気がないの。
今のご時世、自分の予定を見るのに一分もかからないでしょ。
三日を過ぎたら、優先順位が低いと判断していい。
催促は、一回だけしていい
待つのをやめて、こっちから聞く。
これは、重くない。当然の確認。
「この前の件、どうなりそう?」
これだけ。責める言葉は入れない。
それで具体的な返事が来るなら、まだ望みがある。
また曖昧な返事なら、そこで終わり。
二回目の催促は、しないほうがいい。
返事の中身で、次を決める
返ってきた内容を見て判断する。
日付が入ってるか。
代替案があるか。
その週末は無理、で終わるなら、脈は薄い。
その週末は無理だけど再来週なら、と続くなら、行く気がある。
断りの丁寧さじゃなくて、次の提案があるかどうか。ここだけ見て。
後輩ハルカが、最初から潰していた例
誘う段階で、選択肢を出していた
同じ状況を作らなかったハルカ。
彼女の誘い方が、そもそも違った。
「土曜と日曜、どっちか空いてます?」
時間あったら、じゃない。
最初から二択にしてる。
確認するね、と返しにくいの。
土日のどっちかを答えるだけだから。
保留の余地を、作らない
彼女が言ってたこと。
「ふわっと誘うと、ふわっと返ってくるんですよ」
確かに。
時間あったら、という誘い方は、相手に判断を全部預けてる。
預けられた側は、決めるのが面倒だから保留にする。
選択肢を先に出しておけば、その場で答えが出る。
返事が来た日に、店まで決めた
ハルカは、相手が土曜と答えた瞬間に、店の候補を送った。
その日のうちに、予約まで完了。
決まりかけた話は、その場で固める。
一日置くと、熱が下がるから。
六日待ったわたしとの差は、誘い方と速度だけだった。
保留のまま、待ち続けない
待つ時間が、判断力を奪う
返事を待ってる期間、こっちの人生は止まってる。
他の誘いを断る。予定を空けておく。
確定してない約束のために、確定した何かを手放してる。
それに気づいてない人が多い。
わたしも、あの週末を空けたまま六日間過ごした。結局、何もない土曜日だった。
期限を決めて、忘れる
やり方は簡単。
返事が来なかったら、三日でこっちから聞く。
それでも曖昧なら、その話は終わったものとして扱う。
彼の中で保留にされてる話を、こっちが大事に持ち続ける必要はない。
手放したほうが、次に動ける。
予定確認するね、を言う側にもなってみて
最後にひとつ。
自分が乗り気じゃない誘いを受けたとき、なんて返すか考えてみて。
たぶん、似たような言葉を使ってる。
確認します、とか、また連絡します、とか。
その言葉を自分がどういう気持ちで使ってるか思い出せば、彼の温度もだいたい見える。
残酷だけど、そういうことなんだよね。
あの空けた土曜日、結局家で洗濯してた。
干した服が風で揺れてるのを、ベランダでぼーっと見てたのを覚えてる。
