彼女いるのに他の女をかわいいと言う男の心理は正直ではなく無神経

  • URLをコピーしました!

「今の子、かわいくなかった?」
映画館を出てすぐ、彼がそう聞いてきた。
スクリーンに映っていた、女優の話。
26歳の千夏さんは、うん、きれいだね、と返した。
返したあとで、胸の奥がズンと沈んだそう。
嫉妬とは、ちょっと違う。
隣にいる自分の顔が、比べる材料にされた気がしたから。
比較って、口に出されなくても勝手に始まっちゃうのよね。
その夜の別れ際、今日もかわいいよ、と言われた。
なのに、やけに薄っぺらく聞こえたんだって。

彼女がいるのに、他の女をかわいいと言う男。
言われた側の話を、私はいくつも聞いてきた。
言った男の言い分も、外で言われていた側の本音も全部並べて、はっきりしたことがある。
他の女をかわいいと思うこと自体は、止めなくていい。
目が動くのは、どうにもならないから。
でも、彼女の前で口に出す男は、正直者なんかじゃない。
想像力が、足りていないだけ。

目次

彼女の前で他の女をかわいいと言う男の心理

思ったことを口にするのが、誠実だと信じている

27歳の莉奈さんは、デート中に彼の視線が店内を泳ぐのを見た。
入ってきた女の子を、一瞬だけ追う。
追ったあと、莉奈さんのほうに戻ってくる。
その戻る速さに、後ろめたさがにじんでいたそう。
ある日、今見てた?と聞いたら、返事はこうだった。
見てない。かわいいとは思ったけど。
見てない、と、かわいい、が同じ文に入ってるのよ。
(聞いてるこっちまで、顔がカーッと熱くなった)
莉奈さんは、笑い方を忘れたらしい。
思ったことをそのまま言うのが正直、と信じている男がいる。
でも正直の置き場所を間違えたら、誠実さには見えないわ。
隣の人を、感想のモニター役にしているだけ。
莉奈さんは次のデートの服を選ぶ気力まで、根こそぎ持っていかれたって。

嫉妬?と聞き返した瞬間、彼女は冷める

男の側の話も、聞いた。
27歳の一成さんは、口に出しただけ、と思っていた。
かわいいものは、かわいい。
彼女がいることと、目が動くことは別の話。
そう切り分けた瞬間、彼女の顔色が変わった。
どうしたの、と聞かれて、嫉妬?と返したら、さらに温度が下がったそう。
嫉妬じゃなかった。
今この言葉を受け取った人が、どんな気持ちになるか。
その想像がまるごと抜け落ちていた、という話なの。
考えずに出した感想は、感想のまま着地してくれない。
落ちた先は、彼女の順位だったわけ。
一成さんに、順位をつけるつもりなんてなかった。
つもりのない言葉ほど、落ちる場所を選べないのよね。
彼の正直は、彼女にとっては比較の宣告だった。

女優ならまだしも、手の届く距離のかわいい

35歳の文香さんは、結婚前の彼に、インフルエンサーの写真を見せられた。
この人かわいくない?
画面の中とはいえ、会おうと思えば会えそうな距離の顔。
女優なら、まだ笑って流せた、と文香さんは言う。
現実にいそうな相手へのかわいいは、想像が生活圏まで入り込んでくるの。
浮気の下準備に見えても、おかしくないでしょ。
彼にとっては、ただの趣味の話。
でも趣味の話と、隣にいる人のプライドを、同じテーブルに並べちゃいけない。
説明する手間を、文香さんは何度も払った。
そのたびに彼は、そんな深く考えてない、と言う。
はぁ…深く考えていない一言ほど、深く刺さるのにね。

言われた彼女の心で、起きていること

他の女をかわいいと口にした瞬間、男は審査員席に座る。
隣の彼女は、頼んでもいないのに出場者の列に並ばされる。
千夏さんの胸が沈んだ理由は、きっとここにあるわ。

自分に向く褒め言葉だけが、減っていく

24歳のほのかさんは、自分がかわいいと言われる回数が、先に減っていた。
最後に言われたのは、四月。
覚えてしまうほど、少なかったの(泣)
同じころ、彼は友達の話の中で、別の女の子をかわいいし話しやすい、と評した。
軽い口調だった。
その軽さが、ほのかさんには重かったんだとか。
自分への言葉は節約されて、外への言葉は余っている。
余っているなら、こっちに回せばいいのに。
回せない理由は、聞きたいようで聞きたくない。
聞いたら、自分の順位が数字になってしまいそうだから。

28歳のさやかさんは、彼が女友達に送ったLINEを偶然見てしまった。
その髪型かわいいね。
さやかさんは、自分の髪型を褒められた記憶を探した。
最近のぶんは、ひとつも出てこない。
まさか、自分がもらえなかった褒め言葉を、別の女の既読の中に見つけるなんて。
問いただすと、友達だから、の一言。
友達だからこそ、彼女の前で扱いに気をつける言葉があるんじゃない?
外でかわいいを使いすぎて、家に帰るころには財布に小銭しか残ってない。
そんな男の隣で、さやかさんはいつのまにか見張り番になっていた。

いいねの履歴を、数え始めてしまう

31歳の陽子さんは、彼のいいね履歴を見た。
知り合いでもない女の子の写真に、定期的に残っている。
顔が近い写真ほど、多い。
聞いてみると、かわいいと思っただけ、何もない、と返された。
何もない、の意味が、二人でまるで違っていたの。
彼にとっては、体の関係がないという意味。
陽子さんにとっては、視線がもう外へ流れているという話。
何もない、で片づけられると、黙った側だけが大人にさせられる。
陽子さんは、自分の写真を上げる気がなくなったそう。
上げたって、同じ指が同じ温度で他の子にも止まるなら、特別でもなんでもないから。

他の女を下げて褒める男なら安心、は大間違い

テレビの美人をけなしてくれる彼

32歳の真里さんの彼は、テレビに映る美人に容赦がない。
きれいな人を見ても、好みじゃない、と切り捨てる。
清々しいほど(笑)
そして真里さんには、なんでそんなにかわいいの、と言う。
最初は、胸をなでおろしたそう。
でもそれって、他の女を下げることで自分が守られているだけなのよ。
気づいたあと、その安心は少しゆがんだ。
ゆがんでも、外にかわいいが向かない毎日は楽だった。
楽なのと、正しいのは別の話。
確かなのは、彼のかわいいが比べるための道具だということ。
道具の向きが自分に向いているうちは、席を立たずにいられる。
向きが変わる日が来ないなんて保証は、どこにもないわ。
他の女をけなす男は、比べることをやめたわけじゃない。
比べた結果を、今はたまたまあなたに都合よく発表しているだけ。

外でかわいいを配る男の、家での残高

24歳の駿さんは、恋人の存在を伏せて、ほかの女の子を褒めていた。
その場を、うまく進めたかったから。
うまく進めば、次のメッセージが来る。
来れば、彼女の既読より先に指が動く。
気づいたのは、彼女が急に静かになった週。
理由を聞くと、最近、私のことかわいいって言わないよね、と返された。
言わなかったのは、外で使い切っていたからだった。

逆の立場の話もある。
23歳のみずきさんは、彼女がいると知っている男に、何度もかわいいねと言われていた。
乗ってはいけない言葉だと、わかっていた。
わかっていても、本命のいる男からのかわいいは、普通の褒め言葉よりしつこく残るらしい。
既読を遅らせても、次の今日かわいい、は届いた。
その言葉が届くたびに、彼女の存在は薄くなっていく。
みずきさんは、そこに乗った自分もきれいじゃなかった、と振り返る。
よそで配られたかわいいは、どこかで誰かの分から引かれてる。
引かれているのは、あなたの分なのよ。

口に出さない男と、その場で降りた女

目は止めずに、口だけ止めた男

31歳の浩平さんは、彼女の前では言わないと決めていた。
目が動くのは、止められない。
止めるのは、口のほう。
店にきれいな人が入ってきても、話題を料理に戻す。
画面に美人が映っても、上手いな、までにして、かわいいは使わない。
それは愛の証明っていうより、隣の席を守る作業だったんだって。
続けているうちに、彼女のほうから、今日の私どう?と聞いてくる回数が減った。
不安が消えたからだ、と浩平さんは思いたかった。
実際は、聞かなくても大丈夫な場所に、言葉が戻ってきていたの。
派手さは、ゼロ。
意外と、関係を長持ちさせるのは、こういう地味な我慢のほうだわ。
男の人がこれを読んでいるなら、ここだけ持ち帰ってほしい。
かわいいと思うのは、自由。
彼女の耳に入れないのが、大人の礼儀。

長い沈黙のあとに置いた、別れのひと言

33歳の律子さんは、言われたその場で終わらせた。
あの子かわいくない?
その一言のあと、長い沈黙を置いた。
そして、私じゃなくていいんだね、と言った。
彼は、慌てて否定したらしい。
でも律子さんが信じたのは、否定の速さじゃない。
あの一言を口にした瞬間の、彼の顔のほう。
比べても大丈夫だと思っている顔だった、って。
律子さんが欲しかったのは、外のかわいいを自分の前で口にしない判断力。
それがない人は、悪気がなくても削ってくる。
削られた側が残る理由を探すのは、削った側の仕事じゃない。
律子さんは、その作業を一秒も引き延ばさなかったの。
かっこよすぎて、聞きながら鳥肌が立ったわ!

怒るより先に、冷めた帰り道

29歳の亜希さんは、嫉妬より先に冷めた側。
カフェで、隣の席の女の子を見た彼が言った。
あの子かわいいな。
亜希さんは笑って、そうだね、と返した。
結局、帰り道ではもう終わりにすると決めていたって。
怒るエネルギーより、気の回らなさにあきれる気持ちのほうが勝った。
この席でそれを言われた自分がどう思うか、考えもしない人。
その隣に何年も座り続ける未来が、どうしても思い描けなかった。
好きの熱が、一瞬で事務作業に変わる。
その夜から、亜希さんは彼の顔を前ほど見なくなった。
スーッと冷めるって、こういうことなのよね。
彼の目には、急に冷たくなった彼女に映るんでしょうけど。
冷たくなったんじゃない。
点数をつけられる舞台から、黙って降りただけなんだよね。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次